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離婚歴がある場合の相続対策

  • 文責:所長 弁護士 石田俊太郎
  • 最終更新日:2025年1月7日

1 離婚による周囲との関係

離婚・再婚を繰り返していると家族関係が複雑になりますので、それに伴って将来の相続においてもトラブルが生じやすくなってきます。

離婚・再婚をした方は、誰が相続人になるのかを正確に把握したうえで、生前に適切な相続対策を講じておくことが必要になります。

まずは、離婚・再婚による相続人の範囲について説明します。

⑴ 元配偶者との関係

離婚をした元配偶者は、離婚によって姻族関係が終了しますので、他人と同様の関係になります。

そのため、元配偶者には、相続権は認められません。

⑵ 再婚相手との関係

再婚相手は、婚姻と同時に法律上の配偶者になります。

配偶者は、常に相続人になりますので、再婚相手には相続権が認められます(民法890条)。

これに対して、婚姻届を提出せずに夫婦同然の生活を送っている内縁関係の場合には、法律上の配偶者にはあたりません。

そのため、内縁の配偶者には相続権が認められませんので注意が必要です。

⑶ 自分の子どもとの関係

元配偶者との間に子どもがいる場合には、その子どもには第1順位の相続権が認められます。

元配偶者と離婚をして、元配偶者が子どもの親権を獲得したとしても、子どもとの親子関係が消滅するわけではありませんので、親権の有無に関わらず、相続権が認められることになります(民法887条1項)。

⑷ 再婚相手との間に生まれた子どもとの関係

再婚相手との間に生まれた子どもについても、元配偶者との子どもと同様に第1順位の相続権が認められます。

元配偶者の子どもであるか、再婚相手との子どもであるかによって法定相続分には違いはありませんので、相続においては同様に扱われることになります。

また、内縁の配偶者との間に生まれた子どもについては、非嫡出子として扱われることになります。

母親と非嫡出子との関係では、当然に親子関係が生じますので、子どもとしての相続権が認められます。

他方、父親と非嫡出子との関係では、出生によって当然に親子関係は生じませんので、父親からの認知がなければ、父親の相続人になることはありません。

なお、以前は、非嫡出子と嫡出子の相続分に差がありましたが、現在では、そのような区別はなくなり、非嫡出子と嫡出子の相続分は等しいものとされています。

⑸ 再婚相手の連れ子との関係

再婚をしたからといって、再婚相手の子どもとの間に親子関係が生じることはありませんので、そのままでは、再婚相手の連れ子には相続権は認められません。

再婚相手の連れ子にも遺産を相続させたいと考える場合には、再婚相手の連れ子との間で養子縁組をする必要があります。

養子縁組をすることによって、再婚相手の子どもは養子となり、相続権が認められることになります。

元配偶者との間に実子がいたとしても、養子と実子では法定相続分には違いがありませんので、相続においては同様に扱われることになります。

2 自分が被相続人となる場合を考えた相続対策

元配偶者との間の子どもとの関係性によっては、「元配偶者との間の子どもに遺産を渡したくない」と考えることもあります。

そのような場合には、以下のような相続対策を講じておくことが考えられます。

⑴ 遺言書の作成

元配偶者との間に子どもがいる場合には、あなたが死亡した場合には、原則として法定相続分に従って元配偶者の子どもが遺産を相続することになります。

このような事態を回避するためには、生前に遺言書を作成しておくことが有効な対策となります。

遺言書を作成しておくことによって、遺言者が遺産分割方法を指定することができますので、誰にどのような財産を相続させるのかを自由に決めることができます。

そのため、再婚相手や再婚相手の子どもにすべての遺産を相続させるといった内容の遺言書を作成することも可能です。

ただし、そのような遺言は元配偶者との間の子どもの遺留分を侵害することになります。

一定の相続人には、法律上、最低限度の遺産の取得割合として遺留分が保障されています。

遺留分を侵害するような内容の遺言書であっても有効な遺言書となりますが、遺留分を侵害された相続人から遺留分侵害額請求権を行使されて、遺留分に相当する金銭の請求を受ける可能性があります。

再婚相手や再婚相手との子どもが相続争いに巻き込まれないようにするために遺言書を作成したにもかかわらず、遺留分への配慮を欠くと、遺留分をめぐる争いに巻き込まれる可能性もありますので、注意が必要です。

そのため、遺言書を作成する場合には、遺留分にも配慮した内容にしておくことが安全です。

⑵ 養子縁組

再婚相手の連れ子に遺産を相続させたいと考えた場合には、再婚相手の連れ子と養子縁組をすることでその希望を実現することができます。

再婚相手の連れ子と養子縁組をする場合には、養親となる人と養子となる連れ子が共同で市区町村役場に養子縁組届を提出する方法で行います。

連れ子が15歳未満の場合には、連れ子の親権者が代わりに手続きを行います。

養子縁組には、配偶者の同意と2人の証人が必要となります。

養子縁組をすることによって、元配偶者の子どもと再婚相手の子どもが同順位の相続人となりますので、それぞれ遺産を按分して分けることになります。

たとえば、相続人として配偶者、元配偶者の子ども(実子)、再婚相手の子ども(養子)がいる場合には、それぞれの相続人の法定相続分は、以下のようになります。

・配偶者:2分の1

・元配偶者の子ども(実子):4分の1

・再婚相手の子ども(養子):4分の1

遺言書がない場合には、上記の法定相続分に従って遺産分割協議を行い、遺産を分けることになります。

しかし、再婚相手や再婚相手の子どもから特別な寄与(療養看護や多額の財産支出)を受けていた場合には、遺産分割において寄与分を主張することができます。

そのため、寄与分がある場合には、再婚相手や再婚相手の子どもが少しでも有利になるように、寄与分の証拠を残しておくことが大切です。

なお、養子縁組をすることによって相続税の基礎控除額を増やすことができますので、多くの相続財産を有している場合には、養子縁組は、相続税対策としても有効な手段となります。

⑶ 生前贈与

生前に元配偶者の子ども以外に財産を贈与することによって、元配偶者の子どもが相続することになる財産を減らすことができます。

ただし、生前贈与をする場合には、贈与税が課税されますので、一度に高額な財産を贈与してしまうと、相手に渡すことができる財産が少なくなるおそれがあります。

贈与税には、暦年課税という制度があり、年間110万円までであれば贈与をしたとしても非課税となりますので、この暦年課税制度をうまく利用することによって贈与税の負担なく財産を渡すことができます。

そのためには、長期的な視点で財産を贈与する必要がありますので、早めに相続対策に着手することが大切です。

⑷ 相続廃除はできるか

相続廃除は、非違行為があった相続人の相続権を失わせる手続きです(民法892条)。

相続人の廃除をすることができれば、元配偶者の子どもの相続権を失わせることができ、それによって遺産を渡したくないという希望を叶えることができます。

しかし、相続人の廃除をするためには、家庭裁判所に対して相続廃除の申立てをしなければならず、相続人の廃除を認めてもらうためには、以下のような要件を満たさなければなりません。

・被相続人に対して虐待をした

・被相続人に重大な侮辱を加えた

・その他著しい非行があった など

相続廃除を利用することができるケースは、非常に限定されていますので、どのようなケースでも利用することができるわけではありません。

3 生前の相続対策はお早めにご相談を

離婚や再婚によって家族関係に変化があった場合には、それに伴って相続人の範囲にも変化が生じることがあります。

誰が相続人になるかをしっかりと理解したうえで、適切な相続対策を行うことによって、将来の相続トラブルを回避することが可能となります。

生前の相続対策をご検討中の方は、相続問題を得意とする専門家にお早めにご相談ください。

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